Workshop 教材開発

​別の教材開発

木の枝と和紙のレリーフ

音楽院首里のミュージックキャンプ

 作曲家の上地昇さんが当時主宰していた音楽院首里のミュージックキャンプに誘われた。1983年だったと思う。

 私の当時の妻がピアニストだったので、頼み易かったのだろうが、レッスンの合間の空き時間に何か造形活動をして、子どもたちを遊ばせたかったようだ。

 私は、1982年に沖縄に来て、1983年4月にそれまでの自分の作品を見てもらう個展を開いた。

 そこに上地さんが来て、音楽院首里で展覧会をしてくれないか、その展覧会場でコンサートや詩の朗読会を開きたいと誘ってくれた。それが付き合いの始まりだったと思う。

​ ミュージックキャンプは、冬場で観光客が少なかった奥間ビーチで行った。勤め始めたばかりだったので高級リゾートペンションに泊まれるという条件にすぐに承諾した。

 小学校教員養成課程の学生に提供していた授業の最初に行っていた、「色遊び」や「線遊び」を大きな紙にしてもらったら、子どもたちは、とても楽しんでくれた。

​ 上地さんは、来年は宮古島で行いたい。また、来て欲しいと誘ってくれた。

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 翌年の宮古島でのミュージックキャンプでは、現地にあるものを使いたいと思っていた。

 上地さんにキャンプ会場周辺に何があるか尋ねた。すると、「何もない、ギンネムの雑木林の中にポツンと施設があるだけ」との答えだったので、ギンネムの枝を使うことにした。

 ギンネムの枝は、採ったばかりなら、瑞々しくて曲げても簡単には折れない。ギンネムの枝を空間的な線として、これを交差させたところに生まれる面に和紙を貼り、線と面による立体を作って壁面に設置しようと考えた。

​ これを思いついたのは、北山善夫のレリーフ作品を見たことがあったからだ。その当時は、あまり北山善夫の作品の意味など考えていなかったが、面白いとは思っていた。

​ レッスンの合間のグループごとに4組に分かれた子どもたちにこのレリーフ制作をしてもらった。

 まず一緒に雑木林までギンネムの枝を採りに行き、集会場のような施設でそれぞれレリーフを作り、その施設の壁面ひとつずつに、グループごとに位置などみんなで相談しながら設置した。

​ ギンネム以外の材料や道具は持って行った。レッスンの合間の造形活動なので、手早く形に出来るよう、少々荒っぽいが、ホッチキスで止めていった。

 ホッチキスは小さな子では力が足りなくて上手く止められないこともあったが、そんな時は歳上の子が手伝っていた。年齢差のある集団でワークショップを行うというのはとても良いことだ。

​ とても面白いレリーフが出来上がり、この翌年度から、小専美術の授業でも行うことにした。何度か行ううちに、現代彫刻を考える意味でも良いきっかけになる教材だと思い始めた。

 このピカソから始まる「塊の彫刻から関係性の彫刻へ」については、紀要論文「彫刻の変容」を読んでいただきたい。

小専美術の授業で「木の枝と和紙のレリーフ制作」を行った初めの頃

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枝振りの良いギンネムの枝を採る。

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ギンネムの葉は、基本的には全て落とす。

​その枝を空間的な線の集合と考え、線と線を交差させ面を作る。

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枝と枝を糸で留める。留めて出来た面を、また別の枝と留めるなど面白いと思う形にしていく。

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枝が交差したところに出来た面に和紙を貼り付ける。

​和紙は、やや大きめに切り木工用ボンドで接着した後、余分なところを切り取る。

​適宜、着色する。

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レリーフは壁面に展示する。この時は針釘などを打ち付けて固定する。レリーフは180°移動して鑑賞するので、そのシルエットの変化を考えたり、近寄った時に立体に取り込まれるような空間感も意識して制作すると面白い。

 初めの頃は、使う枝はギンネムと決めていた。雑木でいくら刈り取っても生えてくるので環境に負荷をかけないこと、また、採ってすぐは曲げやすく折れにくいことが形を作る上で自由度があって良いと思っていた。

​ ギンネムが生木の時に集中して形を作らないといけないので、この実技は土曜日や日曜日の午前中から行っていた。この作品は展示するまでが作品であるので、本当は、全員が完成した時に他の人の作品を展示された状態で鑑賞して欲しかった。

 しかし、制作時間には個人差があり、それだけ長くは学生を拘束できないので、展示した作品をビデオ撮影し、後の授業時間で皆で鑑賞する形にしていた。​

 台風の後に授業をしたことがあった。ギンネムを採りにいったら、台風で引きちぎられたいろいろな種類の木の枝がたくさん落ちていて、これを使っても良いかなと思った。

 ギンネムの枝の生木を使うと、葉を落とすのにかなりの時間を費やす。ギンネムはギンネムでなかなか面白いのだが、他の種類の木の枝や、引きちぎれて乾燥し、自然に反りが生まれた木の枝も人為的に作り出せない面白い形をしている。

 大学の構内に、かなりの数の桑の木も生えていて、この桑であれば葉が大きいので落とすのも手間がかからない。

​ それで、暫くしてからは、雑木ならば、自由に用いて良いことにした。

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小専美術の授業で「木の枝と和紙のレリーフ制作」を行った終わりの頃

 この「木の枝と和紙のレリーフ」は、授業としては2010年頃まで行った。

 授業から外したのは、学生が履修しなければならないカリキュラムが混んできて土曜、日曜にまとまった時間を確保しにくくなってきたこともある。

​ 2007年に行った授業の時は天気も良く、写真を多く撮っていたので、終わりの頃の記録として紹介したい。

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